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第2回特別サロン(その1):安溪貴子さんの講演「地域で自給する・種子から育てる~アフリカで学んだ知恵を日本で生かす~」

2022年10月28日

遅くなってしまいましたが、10月15日、宇部市立図書館で開催された、「地域で自給する種子から育てる~アフリカで学んだ知恵を日本で活かす~」安渓貴子さん(やまぐちの種子を守る会、生物文化多様性研究所)の紹介です。

会場対面で33名、オンラインで5名、計38名の方の参加がありました。
ウクライナ戦争の影響もあり、関心が集まっている食料問題について、以下の観点からお話をいただきました。
・食料の輸入が継続できるか。
・1980年代に飢えていなかったアフリカがなぜ飢える人がいるようになったか。
・いま、自分達でできること。

安渓さん一家は、山口市阿東町で有機農業と種子や苗の自家採取につとめながら自給的な豊かな暮らしを目指しておられます。
 また農地の一部には,ソーラーシェアリングの太陽光パネルも設置され、農業経営上も助かっているということです。

日本の食料自給率はカロリーベースで37%、とくに山口県は25%であり、ウクライナ戦争や円安の影響で、食飼料の輸入は今後一層厳しくなることが予想されています。

#食糧自給
#種子を守る
#地産地消

小麦、大豆、トウモロコシ、ナタネなどの食品、飼料、化学肥料の原料やトラクターの燃料なども輸入に頼っています。また、野菜のタネ9割が輸入であること、ヒヨコは98%輸入とははじめて知りました。タネの確保が非常に重要です。

我々のあまり意識しない間に、タネと苗を巡る重要な3つの法律の動きがあったようです。農業競争力強化支援法(2017年8月施行)、主要農産物種子法の廃止(2018年4月)、種苗法の改定(2022年4月完全施行)です。いずれも十分な審議を経ずに、国民も農家もよく知らないうちに決まったと言うことでした。  
 
農業競争力強化支援法については、これまで、公的に守り、育ててきた日本の基本的な食料・農作物を、民間=私企業、グローバル企業に、タネ・苗と、知見をセットで手わたしなさい、という法律だそうです。
 日本で開発された優良な品種が外国で自由に使われてしまうことを防ぐ目的もあったようですが、むしろ、国や都道府県で公費で開発してきた登録品種が、グローバル企業の所有となって、自由に使えなくなってしまう恐れの方が大きいということです。
 米・麦・大豆、野菜や果樹などの、国や都道府県で公費で開発してきた登録品種が対象であり、企業に渡ったタネ・苗の登録品種は、毎年購入・許諾の手続きが必要になるということです。除草剤で知られるモンサント(合併でバイエル)も日本で法人化して日本の企業になっているそうです。

 イチゴ、サツマイモなど、苗を挿し芽で増やす作物も、自家採種=自分の田畑で増やすことは種苗法の改定によって禁止され、企業から、毎年、苗を買うことになる。これまで自分の畑で繰り返し増やすことで、よい品種・その土地にあった品種を選び抜いて育て・販売してきたのにということです。
 種苗法の改定の完全施行は今年の4月からなので、まだ本格的な動きはないが、相手は大企業なので、徐々に厳しくなると考えられること。実際、野菜のタネも値上がりしているとのことです。
種子島・奄美・沖縄の島々のサトウキビも同様で、大変問題になっているそういるようです。
紹介された「タネは誰のもの」原村政樹監督・編集、という映画DVDは見る必要がありそうですね。

 さて、アフリカで学ばれたことに話が移りましたが、随分長い年月をかけて、たくさんの地域を回られたようです。今日のお話は、RDC(コンゴ民主共和国),アフリカで学ばれた、自然の豊かさをめぐみにかえるのが人間の知恵であることを基本にして、現在ご一家で実践されつつあるということです。

 なお当時RDCはザイール共和国と呼ばれていたようですが、南大西洋に注ぐコンゴ川の流域で、かなり大きな国で、1億人近くの人口があるようです。

 滞在されたのは人口100人の村(東部のキンドゥ近くで、自給自足の生活、電気はもちろん、ガスも水道もないようなところですが、それでもゆたかな生活をしているようです。

 タネを播いて、2〜3ヶ月でトウモロコシが穫れ、40種の栽培植物、200以上の品種があり、畑には、陸稲、バナナ、アブラヤシ、キャッサバ、サツマイモ、トマト、トウガラシなどが混植混作されています。雨が多かったり、少なかったり色んな変化に応じて、安定した収穫が得られるということです。陸稲の茎はそのまま溶脱防止なるとのこと。
 
 焼き畑耕作、魚捕り、狩り、採集などで得た材料で作る料理のレシピも想像を超える豊富さだったようです。
 お米の炊き方は日本と同じだそうです。みんな協力してよく働きます。食事は男女別々のようですが、大人数で楽しそうですね。

 ごみはあまり出ませんが、掃除屋さんでもあるニワトリやアヒルの食べ残しは裏庭で堆肥にされるそうです、

 また、毎日同じでは飽きるから、干し魚や干し野菜、ピーナッツやニンニクなどの保存食をつくっておいて、味に変化を持たしているということでした。
 安溪先生が滞在された時期はいくらか落ち着いた時代であったと思われますが、このような暮らしの知恵が、彼らを支えてきたのだろうと考えられ、かつての日本にもあったに違いないと思われたそうです。

 アフリカだけではなく、世界は餓えていなくて、それぞれに満ち足りた暮らしをしていたのではと思うが、なぜ餓えるようになってきているのか、たとえばインド北部のラダックでも1970年代は自然と調和した生活をしていたが、近代文明が入ってきて、同様なことが起こっているということ。その歴史的背景は、奴隷貿易、植民地、内戦・・・最近では温暖化、コロナ禍、ウクライナ侵攻など、そろそろ私たちが気づいて立ち止まるべき時ではないかとされました。
平賀 緑著「食べものから学ぶ世界史:人も自然も壊さない経済とは?」岩波ジュニア新書2021も参考になるそうです。
 また、コンゴの最近の状況については、松浦直毅ら編著「コンゴ・森と河をつなぐ」明石書店に書かれているそうです。滞在された村も、厳しい状況になっている可能性もありますが、Google Map で見てみると、まだ所々焼き畑の場所が見られるので、大丈夫かと思っているとのこと。

20世紀に、世界の在来品種のタネの3/4が失われたそうです。伝統的品種の多様性が失われてきている原因は、農産物が市場の「商品」になり、農業が大規模化・工業化したことであるとされました。生産性が高い少数の品種に置き換わったということです。

 日本でも、農家が食べ物を商品として出荷するには、まず品種が決められて、輸送に耐える、形がそろう、箱の中に納まる、大きさ、重さ、形が決まっている、味よりも、日もちがいいことが優先するといった点を上げられました。
(その2に続きます)

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