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深層流の発生について

2022年06月16日

次の写真は何なのか分かりますか。

正解は温度計です。ガラス容器の中には水(多分防腐剤なども入っている)ですが、中に入っているフロートは紫色が18℃で沈みだし、緑色は20℃で沈みます。次の黄色は22℃で沈みだすので、現在の室温は約22℃だと分かるのです。先日、小学生の孫に説明しましたが、どうもその仕組みが分からないようでした。この原理を理解するためには、水は温度が上昇すると分子の運動が活発になって、体積が膨張して軽くなることを知らなければなりません。水の場合は特殊で、4℃で最も重く、それよりも温度が上昇すると軽くなります。また、氷になる前も4℃から0℃に近づくと少し膨張して軽くなります。

写真のそれぞれのフロートは(例えば紫色のフロートは18℃の水と同じ重さに調整されていて)温度が変わっても体積も重さも変わらないので、18℃以上の温度になると、水の方が軽くなってフロートは沈むのです。

さて、私の近著「黒潮消失から始まる日々」で描かれた深層流の生成、あるいは消滅の可能性について考えてみましょう。この本の第2部では次の図が引用されています。この図はコロンビア大学のウォレス・ブラカー教授によって描かれた表層水と深層水が地球全体をコンベヤーベルトのように循環している図です。彼は海洋大循環が、気候を変動させるメカニズムにおいて重要であることを指摘しました。

海洋の大循環の模式図
(深層水と表層水の流れが一体となって海洋全体をつなぐ)
出典:岩波講座 地球惑星科学3「地球環境論」 p.95, 岩波書店 (1996)


この図はかなり簡略化されており、黒潮は明確には描かれていません。地球の自転の影響で北半球の大陸の東海岸では北向きの強い暖流(例えば黒潮やメキシコ湾流など)が現れます。太平洋ではアラスカによって北極に流れ込むのが阻止されますが、大西洋ではユーラシア大陸の西でメキシコ湾流がアフリカ沖に向い、北方に向かう海流になります。スコットランド沖からスカンジナビア半島に沿って北行する海流は、暖流ですので水分が大量に蒸発して、海水温は低下します。塩分濃度が上昇すると海水は重くなります。(例えば体積と重さが変わらない人は、塩分濃度が極端に高い死海では沈みません。また、淡水のプールよりも海で泳ぐときは体が浮きやすいと実感する人も多いでしょう)

グリーンランド沖で、十分冷やされて塩分濃度が高くなった海流(表層流)は深海の海水(大体1~2℃と言われています)よりも重くなって海面から海底に向かって沈み始めます。この現象が起きる位置を図中では◎印で示されています。

北部北大西洋における深層流の形成
高温かつ高塩分のメキシコ湾流がグリーンランド海で冷却されることによって、深層水が形成されている。その後、ラプラドル湾でも同じようなメカニズムで形成された深層水と混合して、北太平洋深層水として、北大西洋を南下する。
出典:大河内直彦著 チェンジング・ブルー p.220 岩波書店 (2015)


このような深層流の形成は、南極洋でも生じていると言われています。深層流は約1000年をかけて深海を流れ、インド洋と太平洋で表層流となり、地球を循環するのです。

地球温暖化に伴い、深層流の形成は無くなるのでしょうか? この点に関しては、気象学者はその可能性は小さいものの、何れ起こるのではないかと言っています。地球温暖化が急速に進み表層水の海温がどんどん上昇すると考えられます。更にグリーンランドは厚い氷床で覆われていますが、現在もどんどん溶け出して、溶けた淡水(海水よりも軽い)はグリーンランド海の海水を軽くしています。温暖化による海水の蒸発による塩分濃度の上昇と、上に述べた表層水の温度上昇がどの時点でバランスが崩れて、深層流の形成がストップするのか、現状では予測が困難であると言われています。

そのため、「黒潮消失から始まる日々」では、フィクションなので割と気楽に、50年後に深層流の形成が止まってしまうとしました。深層流が完全にストップするまでの時間は、現在の深層流滞在時間(1000年と言われています)よりも、もっと短いと考えます。単純なパイプ内の流れならグリーンランド沖で深層流がストップしたら、その瞬間、流体が連続体であることより全領域でストップしてしまします。実際には深海の他の領域から深層水が供給されたり、流路が変わったり、複雑な現象が生じると思われますが、急激な地球温暖化に加えて、深層流の詳細なデータがない現状ではスーパーコンピュータによっても予測が困難です。

過去数十万年の間に、氷河期と間氷期が交互に地球上に現れていたことは、研究者の努力によって知られています。特に間氷期から氷河期への移行は案外短い時間(例えば数十年)で起きた事例もあります。何れにしても、私たちの未来を考える上で、近い将来に氷河期が地球を襲ってくる可能性も排除せずに温暖化防止を考えることが重要であると考えます。

(うべ環境コミュニティー 理事 薄井洋基 記)

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