Trash Hero Indonesia によるショート動画で意外な情報があったので調べてみた。
2025年06月19日
Trash Hero Indonesia によるショート動画で意外な情報があったので調べてみました。
最近、Ube IECAの研修でも、1950年代に大気汚染を克服した元々の「宇部方式」だけにとらわれず、持続可能な世界を意識した「新・宇部方式」として時代に応じた先進性を持つ必要があることを感じてきました。
しかし、東ジャワTropodo地区に分布するおいしい豆腐を作る工場群が燃料として日本からの廃プラスチックも含む廃プラを使用し、健康に悪い労働環境やダイオキシン汚染が懸念されるというこのショート動画やその元になった動画を視て、やはり、公害を克服した「宇部方式」の基本をしっかり伝えることの重要性も再認識することができました。
https://www.youtube.com/shorts/DhcgR-0KPE0?feature=share
https://www.youtube.com/watch?v=WPyRAcdZHDo
ショート動画で2020年における、廃プラスチックの正味の輸出量、輸入量を示したグラフが示されましたが、日本が約82万トンの輸出で二位の米国の21万トンも大きく引き離しています。一方、輸入の方はトルコが74万トン、マレーシアが46万トン、ベトナム39万トン、インドネシア約14万トンの正味量となっています。
右側の下の図もショート動画で紹介されたものですが、インドネシア東ジャワにおける、廃プラスチックの不適当な燃料利用によって、ダイオキシン類等の環境汚染が問題になっているという報告書のデータをグラフにしたもののようです。
棒グラフの黄色、オレンジ色、赤色はそれぞれTropodo地区、同じく東ジャワの最終処分場があるBangun地区、対象としてバンコクの玉子の脂肪当たりの有害物質の濃度の比較です。縦軸のメモリが10倍、10倍の対数目盛になっていることに注意が必要です。
Bangunの近くには大きな製紙工場があり、古紙の輸入品が原料に使われているようで、その梱包用のプラス地区に付随して廃プラの輸入も大きくなったような説明もみられます。
あとでも少し触れたいと思いますが、以下のURLで英文の報告書を読むことができます。
https://ipen.org/sites/default/files/documents/indonesia-egg-report-long-v1_2web-en.pdf
その前に、ニッセイ基礎研究所の以下の記事から確認してえおきます。
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=77475?site=nli
左側の図で日本の廃プラスチック輸出量の推移を2015年~2020年で見ると160万トンから2020年は先のグラフの通り、80万トン強、2020年には60万トン弱程度に減少しています。
右側の図はプラスチック循環利用協会の資料から、プラスチック廃棄物の2020年及び2023年の処理状況を示しています。確認が必要ですが、輸出分が単純焼却に含まれているとすれば、それぞれ66万トン以下、58万トン以下と年々低下しているのではないかと推測されます。
さて、先に述べたように、ショート動画のもとになっている動画を視ると、豆腐工場の煙突から、プラスチックを燃やした黒い煙が排出されているのが印象的であり、グーグルマップで確認をしてみようと思いました。
しかしなかなかそう簡単にはいかず、困り果てましたが、Google検索でインドネシア語で、Tropodo、Jawa Timur 豆腐工場(pabrik tahu)などと入れてみると、図のようなGoogleMapが出て、StreetViewも視ることができます。それで、やっと3工場程、黒い煙が出ている煙突を見ることができました。
ただ高い煙突が2本見えますが黒煙は出ていません。3035目m4月の撮影なので、やや改善が進んでいるのかもしれません。
下のストリートビューの写真は右下の地図の2重の赤丸の北側の比較的大きな工場分で、南側の位置は次頁の2工場周辺の位置を示しています。
次のストリートビューの左上側と右下側の黒煙は別の2つの豆腐工場からのものと思われます。右下の南寄りの工場は本格的な高い煙突は見られず、小規模な工場のようです。
上右側と、下左側側の写真は、これらの向上に企業に燃料となるプラスチック廃棄物を納める業者と思われます。
先に示したIPENのファイルは2019年12月に出されていて、5年前までは豆腐工場の燃料は木材が使われていたそうです。それが、中国が廃プラの輸入を禁止してからインドネシアに輸入されるようになったと書かれています。
労働環境ももちろん問題ですが、玉子等の食物連鎖を通してのとおしての健康影響についても懸念が示されています。
プラスチックに関する環境汚染については、マイクロプラスチックが関心を集めていますが、今回紹介したような大きな問題があることを知りました。
廃プラの輸出入禁止やプラスチックの使い方をしっかり考える必要があります。経営者が経済性のみを考えて、公害を生み出すようなことのない倫理観強化も重要です。(文責:浮田)
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