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第6回ESD研修会 重岡良典(和木町教育長)「地域による学校支援事例 ~和木学園の取組を中心として~」の概要です。

2019年01月20日

1月12日、和木町教育長重岡良典先生による第6回ESD研修会が開催されました。

冒頭、「優れたリーダーはどうやって行動を促すか」というサイモン シネックのTEDスピーチ動画を紹介された。アップルの広報や、ライト兄弟の成功、キング牧師の演説を例にとって人の行動を引き出すためには、What→How→Whyではなくて、Why→How→What の順でアピールしなくてはならないということが説明されている。これは、人間の脳の構造に基づく生物学的なものであって、人間の行動は大脳皮質が司る理屈ではなく、大脳辺縁系が司る感情や情動によって、行動につながるということ。
 キング牧師は、何を、どのようにすべきかについて優れたアイデアを持っていたわけではなく、自分はこういう夢を持っているということを熱く語って、多くの人達が演説を聴きに来た。要は、「そうしなければならない」では人は動かない。「そうしたい」と思ったから動くのだという内容であった。 

 みなさんはなぜこの研修会参加されたのか。自分は「どんな地域をつくりたい」とか、
「こんな学校をつくりたい」という気持ちがあって参加されたのでしょう。

 新しい学習指導要領の中では、まず新しい時代に必要となる資質・能力の育成と、学習評価の充実を図りたいという思い、Whyに対応するものとして目的が初めて明確に示され、次にWhat 「何を学ぶか」、How「どのように学ぶか」が示されている。従来の学習指導要領はほとんど、何を学ぶか,Whatの部分だけだった。

 さて、和木町は山口県の東端にある、面積10.6km2、人口6500人のこじんまりした町である。日本最初のコンビナートであり、平地の半分くらいを三井化学、JXTG石油などコンビナート工場が占めている。県内では山口市、下松市とともに人口が減っていない町である。幼稚園、小学校、中学校がそれぞれ一つずつある。

 重岡先生は、平成23年度から和木小学校校長をつとめられた後、26年度から和木町の教育長に就任された。校長時代、校訓として「道を行うに誠実をもってせよ」という校訓の碑を建てられている。教育長になられてから、和木町教育振興基本計画の教育施策の柱の一つとして、”「尊師親愛生」の教育風土の醸成”が上げられているが、その意味は「子は師・親を敬い、感謝し、師は子を讃え、親は師を敬い、子を慈しむこと」とされている。
また、平成29年に中教審の教育再生実行会議から提言された「教師の日」の設定については、和木町の場合は早くも平成2年度に設けられているようである。

 和木町は27年度補正事業として、教育関係では珍しく地方創生加速化交付金を受けられていて、”町ぐるみ「和木学園」”は平成29年3月に開園した、学校教育・社会教育・家庭教育も含めた「生涯学習」を推進する取組であり、「みんなが先生、みんなが生徒」として、生き甲斐のあるまち健康な町づくりを実現を目指している。記念講演には島田洋七が招かれた。学園長は町長、副学園長は副町長、教育長は教頭である。その後、尾木ママの講演会も開催した。

 コンパクトな町なので、町全体を学び舎として、生涯学習を推進する町ぐるみ「和木学園」構想を考えた。
 生涯教育は平成18年に教育基本法の中に明確に位置づけられたが、 和木町では地域福祉も含めて町民総活躍のまちづくりの実現を目指し、生まれる前からお墓に入るまでの生涯教育に力を入れている。

 園・小・中一貫教育を進めるとともに、和木町には高校、大学はないが、15才以上60才未満を、和木町を親として孝行する世代、60才以上を和木大学で学んでもらって活躍を期待する世代とする。また、コンビナート企業には優秀な人材がおられるので、地域の先生としても期待しているとのことである。

 コミュニティースクールと地域協育ネットの両輪でやまぐち型連携教育が進められているが、和木町の場合は、町ぐるみ「和木学園」をその柱となっている。

 さて、和木学園の考え方として、やはりキーワードは、「みんなが先生、みんなが生徒」であり、受けるだけの講座ではなく、町民の方々も企画側に入ることを基本としている。

 既にこれまでに行われている諸団体による講座も多いが、かなりの部分は和木学園の講座として充実を図り、また横串を指す役割も果たせることになる。色々な講座やイベント等が、それぞれの実行委員会で企画して行われる。

 和木町コミュニティースクールの組織図が示されているが、和木町では和木町コミュニティースクール委員会として、小中学校を中心に、幼児教育、社会教育を含む生涯教育をカバーする構図が表現されている。

下の図にはコーディネーターの役割や地域の諸団体の関係が示されている。

和木町のホームページの、町ぐるみ「和木学園」を見ると、数多くの各講座や社会見学などの活動が紹介されている。

 次の図に示されたように、中教審の教育再生実行会議の提言による「次世代の学校・地域」創生プランでは、具体的な方法として、教員改革による資質向上、学校の組織運営改革、地域と学校の連携協働が示されているようであり、それに沿った法改正も行われてきている。和木学園の取組はこのような動きの中での先進的な事例の一つであると思われる。

 話題が変わって、これからやってくる超スマート社会「Society 5.0」について、ドローン配達、AI冷蔵庫、音声による買い物予約、会計クラウド、遠隔診療、スマート農業、無人走行バスなど、の政府広報の動画を見せていただいた。
 文科省もその来るべき社会に対応した教育をどう進めるのか、学校現場での検討がされているようである。文科省のHPには、現在と違う教室のつくり、2週間で1学期分を習得できるような通信教育システム キュビナ、外国の人と英会話ができるDMM英会話、不登校児童にも対応できるオンライン家庭教師、スタディサプリなど10年もしない間に普及している可能性がある。

最後に、教育においては、「時代を超えて変らないもの」(不易)と同時に、「時代の変化と友に変えていく必要があるもの」(流行)に柔軟に対応していくことも、重要な課題であるとされ、ダーウィンの名言「生き残る種とは、もっとも強いものではない。もっとも知的なものでもない。唯一生き残ることができるのは、変化にもっともよく適応したものである。」を示された。

質疑:
・ 話をお聞きして、学校の運営で何か新しいことをしょうか、どのようにしようかと言うことを考えることが多いが、やはりなぜそれが必要なのかと言ったことが大事だと言うことを感じました。子ども、教師、地域でどんな課題があって、どうしなくてはならないか考えることが多い。コミュニティースクールと地域協育ネットの両輪だが、自分達の鉱区では、どちらも学校寄りになっているのが課題かなと思っている。
→和木学園でも、確かに同様の課題がある。昔は和木村は日本一裕福な村と言われ、今はそうではないが、それでも恵まれている方で、園児、児童、生徒の給食費、医療費無料、英検の補助など比較的恵まれている。時期として和木こども園の建設が入っているが、教育費が総予算の30%を占めている。そのため、地域の人達は行政に頼りたいがちな傾向がある。外部から講師を呼んで、これからはどういうふうにしていかなくてはならないか、考えてもらったり、ミニ講座も地域の人に企画に参加してもらい、成功体験を通じて、地域の関わりを強めていくようつとめている。自分たちで取り組んでみて面白かったね、楽しかったねと思えるようにもって行きたい。

・生涯学習、をコミュニティースクールとどう絡めていけばいいのか。各団体の活動とCSの連携、たとえば社会福祉協議会の講座等、宇部市の場合はそのような団体活動が多くて、少し混乱しているかなと思う。和木学園の場合はどうなっているかお聞きしたい。
→和木町の場合は、総括コーディネータとしての派遣社会教育主事(1名)がこまめに各団体と交渉してその辺りの調整をしている。色々な講座の中で、これは町民全体に参考になるな、学校にもいいなと思うものは和木学園の講座として位置づける。勿論、各団体の主体性と抵触することのないように配慮している。このほかにも各学校にも社会教育主事の資格を持ったコーディネータや担当教員もいる。
・宇部の場合は派遣社会教育主事は2名いる。学校人権教育を主に担当してもらっている。
→山口県では原則的に各市町に1名の派遣社会教育主事がいて、恵まれている方だと思う。
宇部市では、縦割り行政を是正するために横串をさすということを強く意識されているようだが、和木学園もそのような効果が期待されていると思う。

・先日の研修会で、幼少時のESDが基礎として非常に重要というお話を聞いた。今日のお話で、最後に触れられたSociety5.0と最初の方で出てきた道徳教育の重要性のような部分を和木町ではどのようにバランスをとられようとしているのか、興味を感じた。
・園、小、中、高と、子どもに一番お金をかけなければいけない時期は?、お金がかかる時期とは違うが、幼少期だと思う。
昔、スタンフォード大学でやられた実験で、マシュマロテストというのがあるが、4才の子どもを対象に、机と椅子だけある部屋に子どもを座らせて、15分間辛抱できればもう一つ上げる、途中で食べたくなったらベルを押して食べてもいいと、部屋を出て行く。
子ども達が待つことができたのは平均2分間で、最後まで辛抱できたのは1/3だった。 40年ほど追跡調査をして、そのこども達の追跡調和をした結果、我慢強さというような非認知的性格が人生の成功においては非常に重要であることが実証されている。
 こども達にいつお金をかけるかというと、幼児期であり、幼稚園の無償化の政策もその線上にあるようだ。幼児期の道徳教育もその意味で非常に重要であると言うことになる。
 Society5.0に備えた教育の対応については、普通教室のICT管理の4ステップが示されていて、次期学習指導要領の実践のためにステップ3(電子黒板、1人1台のパソコン、無線LANなど)まで必要であるとされ、その対応が急がれているようである。
 教育行政においてはこのような新しい変化への対応と道徳教育という一見古いと感じられる部分も同時に進めて行かなくてはならない。
・小野小は生徒数も少ないので、ほぼステップ3の段階である。
→それを強みにしてやられればいいと思う。

・保育園や幼稚園の先生も、学校の先生もますます大変になるが、大丈夫か。また生徒の方も全員がついて行けないこども達もいるだろうし、また、単純作業は機械に奪われて、どんなやりがいのある仕事が残るのか、人として幸せな社会になるのだろうか。
→電子マネーでものが手に入って、ものの大切さなどが実感できるのかとか、色々付随して起きる問題については、同時に注意して考えて行かなくてはならないと考えている。
先生方が大変になることについても、最近は教員の採用試験の倍率が2倍を切るようになっている。先生の仕事はやりがいのあるものであることがアピールできるよう、その意味でも地域が学校を支えるコミュニティースクールの役割は大きいし、教職員だけによる学校運営ではなく カウンセラーやソーシャルワーカー、部活指導員を含めたチーム学校、地域の人たちや様々な団体と連携した開かれた教育、画一的教育ではなく生徒の特性に応じた教育、学校だけではなくフリースクール等様々な教育機会が求められる。

門外漢のこともあり、正確な概要になっていない所もあるかと思いますが、不適当な部分があればご指摘いただければ幸いです。

ご多用中にもかかわらず、貴重な時間をお割きいただいた重岡先生に感謝いたします。

      (文責:浮田)

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