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マイクロバブルに関するコメント

2016年05月20日

 最近、「うべっくる」にナノバブルのブログが掲載されました。
http://ubekuru.com/blog_view.php?id=3951
関連して、ナノまたはマイクロバブルに対する私の考え方を述べます。バブルの発生は、基本的に二流体ノズルと呼ばれる装置が使われます。空気中に噴霧されると、液滴が微粒子として分散され、燃焼装置とか、身近なところでは農薬の噴霧などに使われています。一方、液体中に噴霧されると微小気泡が液体中に分散されます。

 www.atomax.co.jp
それぞれの目的に沿った噴霧ノズルの形状と機構は特許で押さえられていて、多種のナノまたはマイクロバブル発生装置が市販されています。ナノまたはマイクロバブルについては、徳山高専の大成教授が20年以上前に提唱され始めて、以後、多くの情報が積み重ねられてきました。
http://blog.goo.ne.jp/driver1988/e/6d6b2fc4dd3c8dd62abd5147a6617d71

先のブログにも紹介されたように、バブルを液中に混入すると、原因はよくわからないが、生物の生育や殺菌作用などに顕著な効果を有していることが報告されてきました。しかしながら、効果が発生する原因は解決されているとは言えません。
 私も、大成先生から化学の面から原因究明について協力してもらえないかと頼まれたことがありましたが、自分の研究と仕事が忙しくて具体的な協力体制を組めなかったことを申し訳なく思っています。通常の科学的思考では、水中に空気やオゾンなどのナノあるいはマイクロバブルが漂っているだけでは、報告されている効果が出るとは信じられません。即ち、気泡と液体との間に気液平衡関係が保たれている限りにおいては、言われているような効果が出るとは信じられないのです。バブルの表面積が多くなって、水中の溶存酸素量などが良い方向に変化することは考えられますが、それほど顕著な効果が期待されるとは思えません。結局、謎の根源はバブルの発生メカニズムと浮遊したバブルの性質を解明するより他に方法は無いようです。

 気泡発生時には高圧の噴流中で、気体と液体に高いせん断(流体の流れによる変形)が加わります。霧吹きと同じ原理で、微粒化する部分では液体の流れが加速されて、その場の圧力は低下します。 (ベルヌヌーイの定理 http://envuniv.net/bernoulli.php)従って水は急激なフラッシュ蒸発を生じて、バブルの中の気体は通常の空気の組成に加えて、過剰な水蒸気が含まれることになります。バブル発生時には通常考えられる気体と液体との平衡状態とは異なる、非平衡の速度過程が進行することになりますが、高速のバブル生成過程は実験が困難で推測の域を出ていません。このような過渡的な状態が進んでいる途中に、バブルは水中に放出されて、直径が小さいため浮力の影響よりもブラウン運動の影響で水中を漂い始めます。

www.hydro-bath.co.jp

微細な気泡には、従来は知られていないような特性があることが明らかになってきました。直径が50μm以下のマイクロバブルは水中で縮小していき、ついには消滅(完全溶解)する特性があります。一方、ナノバブルには微細な状態を長期にわたって持続させる特性があります。マイクロバブルは、加圧溶解した気体を再気泡化したり、気液2相を旋回させながら分散させたりすることで作り出すことが可能です。この微細気泡は水中で縮小する過程で、気泡内部の圧力を高めたり、表面に集積したイオン類をさらに濃縮させたりする効果があります。特に表面電荷の濃縮に関しては、消滅時にフリーラジカルを発生させたり、ある程度の電解質が含まれる水中において極めて微細な状態(100nm以下)で安定化させたりする効果をもたらします。その結果生じたものがナノバブルであり、マイクロバブルとは異なった作用を水に与えることが知られてきました。

https://staff.aist.go.jp/m.taka/Research.html
上記のデータは産総研で得られた実験結果です。気泡は気液界面により取り囲まれた存在であり、その界面には水の表面張力が作用します。表面張力はその表面を小さくするように作用するため、球形の界面を持つ気泡にとって、表面張力はその内部の気体を圧縮する力として機能します。なお、環境圧に対しての気泡内部の圧力上昇は理論的にヤングーラプラス の式により求められます。
       ΔP = 4σ/D
ここでΔPは圧力上昇の程度であり、σは表面張力、Dは気泡直径です。直径が0.1mm以上あるような気泡においては考慮に値しない効果ですが、直径10μmの微小気泡では約0.3気圧、直径1μmでは約3気圧の圧力上昇と大きな値となります。気体はヘンリーの法則に従って水に溶解するため、自己加圧された気泡内の気体はより効率的に周囲の水に溶解していきます。なお、マイクロバブルは水中で縮小していく存在であるため、計算上では、消滅の瞬間には無限大の圧力を生じることになります。バブル消滅前の圧力が超高圧状態になっていく過程も、非平衡過程です。この部分も実験を行うことが困難なため、想像の域を超える事ができません。
一方、上図の右側にはバブル表面の表面電位を示しています。バブル径が小さくなると表面は強いマイナス帯電していることを示しています。この結果には、気液界面における水分子群のクラスター構造が関与している可能性が高いと考えています。水のクラスター構造(水素結合ネットワーク)は水分子(H2O)と、これが電離して生じたわずかな量のH+とOH-から構成されています。考えられるメカニズムとしては、界面の構造中にH+やOH-が収まりやすい特徴があり、バルク(水本体)に比べてこれらのイオン密度が高くなるため結果的に界面を帯電させています。また、この傾向はOH-の方が強いため、通常のpH条件下では界面をマイナスに帯電させていると考えられます。
気泡が帯電していることの工学的な意味合いは重要です。極めて濃厚なマイクロバブルを発生させても、静電気的な反発力が気泡相互に作用するため、気泡同士が合体して気泡濃度を低下させることはありません。また、汚染物質や金属イオンなどを静電気的な引力により表面に引きつける効果も期待できるとともに、動植物に与える生理的な活性効果の要因となっている可能性もあります。さらに、マイクロバブルからのフリーラジカル発生やナノバブルの安定化にも関与していると考えられます。
マイクロバブルやナノバブルには様々な分野で応用できる可能性があり、現在、その取り組みが始まっています。例えば、マイクロバブルは湖や海などの閉鎖性水域を浄化する効果があり、また簡単な工夫を施すことで工場からの排水中に含まれる有害化学物質を分解することも可能です。さらに、微量で多様な有害化学物質を効果的に除去することが可能であるため、飲料水の安全性の向上にも適応できます。また、魚類や家畜、植物などを活性化する効果があり、農水産業におけるキーテクノロジーとして利用されることでしょう。一方、ナノバブルは酸素とオゾンをベースとした2つのタイプが開発されており、それぞれ生物に対する活性効果や強力な殺菌効果が認められています。現在、医療やバイオ、食品工業などの分野で極めて魅力的な研究開発が進められており、保存料を使わない蒲鉾の製造や、動脈硬化の予防、移植用の臓器保存への応用などにおいて画期的な成果がでつつあります。
バブルの生成過程と消滅過程は、通常の気液平衡の考え方では解釈のできない減少が発生していることが予想され、それが上に述べた色々な効果を生じる原因ではないかと思われます。非平衡の速度過程の研究が進展することに、期待したいと思います。(HU)

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