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1月22日のサロン「コミュニティスクールにESDをどう取り込むか」の報告です。

2015年02月04日

今回非常に内容の盛りだくさんなサロンでしたが、山切さんにまとめていただきました。ESDについて非常に参考になると思いますので、いつもより大部ですが、読んでいただければと思います。
なお、動画は以下で視聴できます。
https://www.youtube.com/watch?v=bHfAFry5RCA

環境サロン「世代間・地域間対話」第7回(まとめ)
⑴日時 2015年1月22日(木)18時30分〜20時30分
⑵会場 宇部市まちなか環境学習館「銀天エコプラザ」
⑶演題 コミュニティスクールにESDをどう取り込むか
⑷講師 池田満之氏
    岡山ユネスコ協会副理事長 
岡山ESD推進協議会運営委員
    岡山京山地区推進協議会会長 他

(司会:山根好子さん)
◇講師紹介については、各人に渡されている名刺をご覧いただくこととして、(講師は講演の前に参加者一人一人に名刺を渡し挨拶された)、私がネット   
で知ったことを紹介したい。講師は、大学時代に環境計量士の国家試験に受かったことで、環境の世界に入られ、以来ずっとさまざまの環境の現場に出向かれ、多様な環境問題に触れてこられた。現在、ESDの担い手を育む教育に携わっておられる。今日は、講師が岡山市で、現在取り組んでおられるESD活動を踏まえた、ESDについての具体的なお話しをじっくりお聞きしたい」
(講師)
 ◇お話しする前に、皆さんが「今日、是非、何を聞きたいか」を聞かせていただきたい。(この求めに応じ、全員が発言したが、全般的に「ESDをよく理解する」ためとか「ESDとCSとの関係」を聞きたいとするものだった。《主たる発言:「講演テーマが、宇部市が正に今求めていることにぴったちなので(白石教育長)」。「この学習館で従来の環境の概念と異なるテーマも取り上げてきたが、ESDはそうしたものを包含しており意を強くしている。山口県はCSでは先進県だがESDの認識は遅れている。先進県の岡山の詳しい取組み状況を話して頂き、認識を広めていきたい(浮田)》
◇ESDは難しい言葉だが、国連が決めた用語なので、勝手に変えられない。
ESDとは、要するに「持続可能な社会を作ること」「そのための担い手を育む教育」。目的は、持続可能性に不安のある現在の社会にあって、意識(価値観)を変えることにより、行動を変革し、「持続可能な社会づくり」することにある。

◇ESDの法的な裏付けは「第2期教育振興基本計画」にある。ESDは「第1期計画」にも漠然とではあるが入っていたが、「第2期計画」では大きな柱としての重要性が明記してある。⇒『「関わり」「つながり」を尊重し、多様で変化の激しい社会を生き抜く力を要請するものとして、ESDを位置付けています。「現代的、社会的な課題に対して地球的な視野で考え、自らの問題として捉え、身近なところから取り組み、持続可能な社会の担い手となるようにESDを推進する」とあります。』(ESDのキーワードが盛り込まれている(アンダーラインの部分)。ESDは学校教育だけでなく、企業や社会等全てを対象とした教育である。
◇「ESDによる社会改革」の重要なキ-ワードは、「行動」、「公約」、「連携」である。中でも社会的責務を伴う「公約Commitment」が重要で、社会的義務、責任を伴わない「貢献「Contribution)」では「努力目標」でしかない。(京都議定書の温暖化数値の「公約」は、その後、より多くの国を取り込むため等の先進国、途上国の妥協から「努力目標」になり骨抜きされてしまった)。環境に関して、例えば、節電や、省エネをやっているかと問えば、たいていの人はやっていますと答えるだろう。しかし、どのくらいやるかと言う程度が問題。日本人は地球2.4個分の暮らしをしているが今や限界に来ている。(これまで可能だったのは、それまでの財産と途上国の分の使用が出来たから)。これに対応するには、日本人が、少々、節電や省エネやったくらいでは何らの効果もない。使用量を社会全体で半分に削減することを社会的責務としてやっていかねばならない。1972年のローマクラブで「成長の限界」が出され、それがスタートして環境の見直しが始まったが成果は上がっていない。今のような生活を続けていては、地球の破たんは目に見えている。しかし、今のような生活をしていると、それが当たり前になってしまい、おかしなことに気づかなくなる。おかしいと言うことに気付き、改めて行かねばならないが、それを「頑張りましょうね」と言った「努力目標」でやっていては、悪くなっていくばかりだ。「おかしいと気付くこと」これがESDのスタート。このおかしいことを、社会的責務を伴う「公約Commitment」でやって行かねばならない。
◇ESDの実施例としては、宮城県気仙沼市の「公教育(学校教育)でのESD推進」と「岡山県岡山市(公民館(社会教育)を中心としたESD推進)が注目される。岡山市の「売り」は、ESDを社会全体で進めていくために、議員立法で「持続可能な開発のための教育の推進に関する条例」を制定したことだ。この条例の目的は「豊かな環境と調和のとれた経済の発展を図りながら持続的に発展することが出来る社会を構築するため、現在及び将来の市民の健全で文化的な生活の確保に寄与すること」としている。同時にNPO法人が受け皿になって、市役所に「岡山市「ESD市民活動推進センター」を設置している。ESDをきちんと推進していくには、こうした裏付けが必要になる。
東京都多摩市も、「公教育(学校教育)でのESD推進」で「2050年の大人づくりを目指して」を進めている。ここでは、教育委員会(教育長)が核になっているが、このほか、新居浜市、大牟田市でも、教育委員会を中心にESDが進められている。いずれも教育長が非常に熱心に取り組んでいる。当初は、皆、戸惑いがあり、しぶしぶだったが、中身が分かってくるにつれ、熱心になり、今では、市民を巻き込んだ活動に発展している。

◇「環境庁」は文科省と一緒になって、学校教育支援のために「+ESDプロジェクト」を進めている。このプロジェクトの他「持続可能な地域づくりを担う人材育成事業」として、①ESDに従った小中学生向け環境プログラム作業事業、
②ワークショップ事業及び教育現場等における実証事業を行っている。
初めてESDを行う先生のためのプログラムを作り、それへの参加を呼び掛けている。1年に20のモデル事業を作り、3年間で60のプログラムを作り、先生達のESDを支援しようとするもの。
◇「文科省」は、平成26年から3年計画で「ユネスコスクールを推進拠点としたESDの普及・促進」を進めている。これは、教育委員会・大学等が中心となり、企業等の協力を得つつ、ESDの推進拠点であるユネスコスクールとともにコンソーシアムを形成する新規事業を実施するもの(その具体的内容は「資料8」を参照)。
ユネスコスクールは元々「ユネスコ京都学校」だったが、ESDの導入を機に、文科省の初等中等局と連携して、「ESD推進拠点校」として、全国の学校に加入を呼び掛け、現在加盟校は800校を超えている。(加盟校の地域毎の状況は「資料9」参照2014年4月現在)。ユネスコスクール加盟のメリットは ①国内、海外校との連携、➁豊富な情報の入手、③このプログラムを使うことにより学習指導要領による教育が非常にやりやすくなる等。
コンソーシアムに置かれるESDコーディネーターの役割が重要で、ESDに関する連携強化及び国内外における交流の円滑化を図る。このコーディネーター役は、通常、大学が果たしていることが多い。
この活動のベースはコミュニティスクール(CS)であるが、違うのはCSが地域内完結であるのに対し、これはもっと広くユネスコスクールまでネットを広げている点にある。
◇ESDと岡山市の教育の関係は、学校での「能力の獲得のための幼-小-中-高一貫教育(縦の繋がり)」と地域での「心情の育成」(横のつながり)を、CSで横串を刺し、トータルしたものを「ESD」で進めていく形をとっている。(資料11参照)。
※ここで講師より、宇部市のCSの状況に沿った話をするために「宇部市のCSの現状」についての質問があり、白石教育長が次のように説明した。『宇部市のCSは緒に就いたところ。学力の面で全国レベルに今一歩と言う状況にあり、どうしても知力の向上に注力せねばならない。文科省より二校(西岐波校区、厚南校区)がCSのモデル校の指定を受けているが、「CSを利用した学力向上」と言う極めて現実的な目標にしているが、現状での苦肉の策だ。CSで生活指導とか家庭学習時間の確保等もやってはいるが、知力向上が当面の重点にならざるを得ないと言うのが現状である』
大体、何処でもそのような状況にあるようだ。しかし、教育は学校任せでなく地域が一体となったもの、つまりCSは非常に重要だ。学校でいくら教えても、地域がそれと異なることをやっていては、知識だけの教育に終わってしまう。地域や家庭と繋がっていてこそ、子供たちの生きた教育の実は図れる。

◇国連大学がESDを始めたときにREC(ESD促進のための地域の知の拠点作り)を作った。これはスイスにおける地域での『垂直的リンクの「学校教育」と「社会教育・行政、NGO等」が側面的にリンクし、それぞれが役割を果たしながら、相互に支援し合っているシステム』をモデルにしたものである。
◇企業においては、あらゆるステークホルダーに対するCSR(企業の社会的責任)としてISO(国際基準)が取り入れられているが、そのIS026000の中に「持続可能な社会への貢献」の責任(ESD責任)が明記されている。(資料14参照)
◇ESDの概念はなかなか難しいため、文科相と環境省が、その愛称とスローガンを公募し、愛称には6年生の「今日よりいいアースへの学び(明日と地球をかけたもの)が、スローガンに「あなたの毎日が未来になる」が選ばれた。「自分達一人一人が毎日身近なところから行動を起こすことが、持続可能な地球の未来につながる」と言うのがその趣旨。
◇ESDについて、日本では第2次教育基本計画(H25年度〜29年度)により進められていくが、国際社会では、ESDは第2段階に入っている。第1段階は「学びの場」作りが中心だったが(第1段階の成果、課題については資料16参照)、これからの第2段階(2015年以降の5年間)については、「グローバルアクションプランプログラム」が作られており、その中で5つの「優先行動分野(資料18)」に焦点を合わせている。その一つに「ローカルコミュニティ」があり、これが地域における具体的な「人づくり」を企画している。
◇昨年(2014年)、ESDに関するユネスコ世界会議が開催され、下記の「四つの目標」が採択された。
①10年間の成果の検証(何が達成され、どのような教訓が得られたか) 
➁万人にとってよりよい社会を築くための教育の新たな方向付け
③行動促進(ESDを通じて、持続性と言う課題にどう取り組めるのか)
④ポスト2014のためのESDアジェンダ(GAP)の策定。
その上で、会議の成果として5項目の「あいち・なごや宣言」が宣言された((資料14参照)。この会議に出席していた下村文部大臣がGAPにおけるすぐれた事例に対し、奨励金(5万ドル)を与える「ユネスコ/日本ESD賞」の創設を表明された。(宣言の6項目目はこの創設を評価したもの)。この会議に並行して、子供環境会議が開催されたが、その閉会式で「子供たちからのメッセージ」が出され、「次世代、次世代と、子供にばかり教育を押し付けるが、大人こそ学んで下さい」を訴えた。内容⇒「持続可能な社会づくりを難しくしているのは、とどまることを知らない人間の欲、自分勝手な我儘な気持ち。意識や関心が低く、知識が少ないこと。原因を作っているのも解決出来るのも人間。大人も本気になって取り組んで下さい」。正に然りであり噛みしめねばならない。

Ⅱ岡山県京山地区のESD活動について
◇岡山市立京山中学校は、ESDを活かして、公民館など学外の連携、教育の融合を積極的に進めており、ユネスコスクール全国大会で「ESD大賞」の最高賞(文科大臣賞)を受賞した。(実践だけでなくその評価まで行うことが評価された) 
◇岡山市は人口71万人位だが、37のエリア(中学校区=公民館区)があるのでエリア当り約2万人程度。京山地区は2万5千人。1万2世帯。(実践事例:資料22参照)
 京山地区のESD活動の概要は「資料23」に記載のように「公民館を拠点に学校や地域コミュニティが一体となった地域ぐるみのESD」を推進している。活動の合言葉は①「未来は変えられる」、➁「一人の百歩より百人の一歩」、③「(E)えーものを(S)子孫の(D)代まで」。ESD活動全体について、「別冊に折込のA3資料」に一枚にして纏めてあるが、決して難しいことをやっている訳ではない。要約すると以下の通り。
①前述した「国連大学のRCE」の考え(学校教育と地域教育の縦、横に組み合わせ、連携)を地域に当てはめ、
②目標と目的を明確にし、
③活動全体の徹底した「見える化」を図り、「自分の活動の立ち位置」を明確にしている。
こうしたことのベースはどこの地域にもあるはずである。
◇京山地区のESD活動
  CS活動が進んで行くと、地域一帯の活動になって行く。
⑴ 活動の仕組みづくりと目指す地域像(目標)の確立⇒岡山市京山地区ESD推進協議会が推進(資料25)
⑵ 活動の進め方
①「地域の良い物の探し」⇒「そのマップつくり」⇒「自分の地域のいいものに対する誇り」⇒「地域の一体感の醸成」⇒その上で、「いい地域だけど、こういう問題(課題)もあるね。それを直して行こうよ」。こういう流れで進めていく。この逆の流れ(先ず問題から始めると)でやるとケンカになり、ばらけてしまうので要注意。先ず一体感を作り上げ、そこから始めること。
⑶ ESDの視点から捉えた「京山地区の特徴や課題」⇒(資料28)
 10項目のうち上から4項目が「○(特長)」、5項目以降が「×(課題)」
⑷ ESDの視点で「京山地区が目指す地域像」
 ① 子供も大人もともに学び合い、社会的課題に協働して取り組む地域
  ・[京山ESDフェスティバル(市長を始め市の幹部が出席、直接対話の場に)、ESDサミット(学んだことの発表会、学びの場に)、学校と地域の合同研修(先生は転勤で来て地域を知らない人が多いので、これが非常に効果的。中学校⇒小学校も実施へ)、座学と現場とでOJT等]
 ② 地域の絆を強め、伝統文化を伝承し、人と自然が共生する地域
  [ムービー京山、劇場公民館・京山、中山間地区と他地区との共生のための交流等]
  ③ 言葉や文化の壁を越えて、同じ地域に住む外国人と共生する地域
   [多文化共生プロジェクト(フレンドリー京山)等]
④ 障害者や高齢者も誰もが安心して暮らせる、安全で安心な住みよい地域
  ⑤ 学んだことを活かせる場を作ることで、学びから持続発展し続ける地域
 「学んだこと」を「社会に反映させる」ことが大切。一つの例⇒京山地区のESD活動に参加した中学生達が中心になって提案した「緑と水の道」事業計画が、官学民による「整備推進協議会」の設置を経て、7,300万の予算が付き工事が完成した。この間7年かかったが、単に学校で学ぶだけでなく、自分たちの街を住みよい街にした「学び」を「実行・実現」に繋げた恰好の例。
⑸ 地域づくりを進めていくには、つなぎ役のESDコーディネーターが必要で、これが推進のキ-パーソンになる。岡山市の場合、岡山大の環境デザイン工学科(昔で言うと土木科)がその役を果たすことが多い。岡山市は来年、コーディネーターの増員に力を入れている。コーディネーターの育成に関し、こういう意識を持った子が担い手に育っていくといいなと思われる「文章(京山地区のESD活動に参加した中学生の感想文)」があるので紹介したい(資料41)。大切なことは「学ぶ」だけでなく「それを自分のもの」にし、そのことにより「愛着」、「地域の一員であるの実感」がわかないと「行動」には繋がらないと言うことである。
◇ESDにおける「協働」で思うことの5項目。⇒「資料43の5項目」(特に大事なことは4項目目⇒「学校と地域と行政(自治体)等がそれぞれどう言うものか理解・認識していてそれらを繋いで連携して取り組める核となるコーディネーターが必要」)
◇ESDのキ-ワードとして『未来は変えられる、「体験」から「探究」へ⇒意識(価値観)と行動の変革』が言われる。大切なことは単に「体験」に
留まらず、何故そうなるのか、根源を追及する「探究」の域に行かねばならないこと。そうした流れにならないと「意識、行動」の変革は出来ない。
◇学校と地域が一体となった教育について、岡山市の教育長から「学校と地域の関係は「共同」では弱い、「融合」でなければならない。教育委員会は学校だけでは対応が出来ない問題のサポート、学校と地域をつなぐコーディネーターの役割を果たさねばならない」と言ってもらっている。これを裏付けため、岡山市では「ESD推進条例」を制定し、これにより予算措置が担保されている。岡山市だけでなく、他地区でもこうした取り組みをされ、人づくりを行っていただきたい。
◇環境教育で著名な川島直氏は「ESDは皆で未来を描く練習だ」と言っておられるが非常に分かり易い。図解すると次のようになる。
皆で   ・参加する。
・体験する。
・誰かに言われるのでなく
未来を ・ありたい未来の夢(プラス指向で)
・未来世代への責務
描く ・誰でも分るように絵にする
・「見える化」する
練習 ・何度もやる
・だんだん上手に描けるようになる
こうした練習(教育)を繰り返していくことで住みよい未来を創っていきたいものである。
◇私達は何を望んでいるのか。突き詰めれば「幸せになること」であろう。では「幸せ」とは何か。金持ちになること?。そればかりではなかろう。結局、自分達、子供たち双方が望む未来を描いて、その実現に向かって進むことではないか。そうした視点から地域を見直していきたいものと思っている。

【質疑応答】
◇学校と地域の連携、一体化は上手く行っているようだが、「親」が全く出てこないのは何故か。親の果たす役割、理解は大きいと思うがどうか。(CS活動をやっているが、親が「服が汚れるとか、宿題をやる時間までに帰宅させろ」とか活動にクレームをつける。親の理解不足に困っている。)
 →PTAが一部絡んではいるが、確かに親の関わりは、現状、踏み込み不足であることは事実。次のステップの課題だ。この問題について、教育長は、どう考えられておられるか。
(教育長)保護者に参画してほしいと思っている。親が参画する姿を見て、 子供は社会との繋がりの重要さを認識すると思う。学校教育が中心だが。
 →学校教育はおいては、親の関わりは進んでいる。
◇「京山ESD」は2003年にスタートしたとのことだが、今日の素晴らしい状況に達するまでにどういう苦労、経緯があったか。原動力は何だったか。
→①大きな力になったのは先生方の理解。彼らが引っ張ってくれ、学校で実践していく中で次第に広がって行った。これに4年かかった。
 ➁コミュニティとの関係。連合町内会が非常に熱心に取り組んでくれた。地
域にこのような推進進母体となる「中核組織」があることが重要。
③先ず「環境プロジェクト」から始めた。これに3年かけたが、その反省会で、市長が「環境問題はどんどん変化していくし、地域には環境だけでな
く、高齢者、障害者の問題等、沢山問題がありますね。これだけで終わって
しまうのは勿体ない、続けてやってみませんか」と呼びかけた。それを切
っ掛けに「ESD活動」に繋がり、今日に至っている。
④活動は「理屈」でなく「実践」の中で進めて行くことが必要。又、身近な分かり易いテーマから始めることが大切。老人会の会長が、子供たちの子持ちは分からないと言っていたが、一緒にやるうちに分かって来たと言っていた。(子供が用水路に入って遊んでいる絵を描いているのを見て、子供はこんな汚いと川でも遊びたいのか、それなら綺麗にしてやろうと言う行動に繋がった例)
◇我々若手で出来る活動は?
 →レジ袋の工夫、賞味期限は切れているが消費期限は残っている商品を、必要する所に届けるサービスとか沢山ある。言ってくれれば紹介しますよ。
(司会:私達は地域で子供たちと一緒に餅つきをしているが、この行事を計画づくりの段階から、子供を参画させ、そのアイディアを活かしていくと、もっといい地域活動になると思った)
◇ユネスコスクールの狙い、入っているメリットは何か。英語力がないと難しいのでは。
 〜ユネスコスクールはまだきちんとしていないところがあり、活動に温度差がある。文科省の目指すところはESDカレンダーに沿った教育。即ち、各学年の教科を超えた「持続可能な社会づくりのための人材育成」を盛り込んだもの。ユネスコスクールに入っているメリットは、ESDの関する情報やソフト、ハードのノウハウを豊富に入手できること。ESDは最新の情報、ノウハウで行うべきだが、それを得るには、ユネスコスクールに入っていないと極めて難しい。支援金(早く加入するほどメリットは大きい)だけでなくそう言ったメリットが大きい。ユネスコスクールで英語で書かれているのはユネスコ本体に関わる部分のみ。国内のネットワークには日本語が使用されており、日本語で支障はない。又、全国の大学がエリア単位で英語についてのサポートをしてくれる体制が出来ているので英語に関わる支障はほとんどない。
◇ESDDの捉え方について質問したい。社会に関わる問題は非常に広範にわたっているが、そうした中、「京山のESD活動」の説明の中で、「京山地区の特徴や課題をESDの視点から捉えてみると」とか「ESDの視点で京山地区の目指す地域像」と言った捉え方がされていたが、「ESDの視点」とは何かそうでない捉え方と言うものはあるのか、あるとすればそれは何か、をお尋ねしたい。
 →ESDのキーワードは「持続可能性」。今ある問題を、「今、我々だけの問題として」捉えるのでなく、「将来に関わる問題として」捉えるのがESD.の視点。エネルギ―を例にとると、今はあるから使えばいいが、使い尽くせば、枯渇し将来世代は生活出来なくなる。それを考えると、今の使い方を考え直さねばならなくなる。伝統文化を見捨てても直接、生活に困ることはないかもしれないが、将来の人たちのコミュニティ社会の繋がりをなくしてしまう。今のようなレジ袋の使い方をしていると深刻な石油資源問題に陥る、そうした「先を見据えて、今を考える」視点が持続可能の根幹だ。先程、『「体験」から「探究」へ』を話したが、「今だけ」の視点なら「体験」でいいが、「将来を見据えた」視点には「探究」でなければならない。このように今の時代、自分のことだけでなく、周りの人、将来のこと、人までを見据えた考えが出来る人材を育んでいくのがESDである。言い尽くせない感はあるが、これが質問に対する私の考えだ。
◇ESDが非常に進んだ岡山市京山地区のお話しを伺ったが、気になることとして、京山地区の中学生、小学生のどの位の割合の生徒がこの活動に参加しているのか。山口県では、県の環境学習推進センターのプログラムでもその恩恵を受けるのは、ごくわずかの数のこども達である。如何にして全体に広めていくのかが課題。
 →当然のこととして、全員が参加することは物理的に無理。学校の先生、生徒の代表、有志等が活動に参加し、参加した先生、生徒たちが、学校に帰って、活動で学んだこと、体験したことをフィードバックしている。又、私たちが、直接、学校に赴いて、話すことをしているし、先生たちが私たちの活動の場に来られ、それをフィードバックすることもしている。この
ような方法で、全体に広めている。
◇今の社会は非常に難しい問題を抱えているが、子供たちがそれをどこまで理
解しているのか、理解の深みが大切だと思う。説明にあった「緑と水の道」の場合、それを作ったことで、地下水と漂流水の循環によって、どの程度自然の生態系が回復したのか、そうしたことまでを理解して、「良くなった」と認識しているのか。ユネスコが拠って立つ西洋的な考えには、根本的な問題あると言われるが、そのユネスコが出す方針に合致しておれば良い、合格と言う理解でいいのか。
→難しい問題。子供に理解については、当然のこととして発育段階によって異なる。水質汚染問題を例にすると、小学生は「汚くならない」アイディアを出してくる。中学生は「何故、汚くなるのか」と原因への繋がりを追及するし、高校生(工科系)は「水流構造の改造」を考えてくる。これを大学生が加わって一体化したものにすると、立派なプロ級の対策案が出来る。勿論、この一体化した案は重要であるが、それぞれの発育段階の考えも非常に大切。小学生が、高校生がとても及ばない発想を出す例も多い。当然のこととして、こうした活動は学校における学科教育にきちんと裏打ちされていることが必要になる。
◇交通安全のまちづくり活動に取り組んでいるが、その成果として「自転車レーン」が宇部市に初めて出来た。又、「アートによるまちづくり」に取り組んでおり、秋にこの関連のイベントを行うことにしている。自転車レーンの利用、イベントへの参加を進めていかねばならないが、これに我々市民グループが、直接、介入することには、警察、学校からの軋轢がある。これについて、いい方法、アイディアがあれば教えていただきたい。
→子供たちは上から押し付けられることを嫌う。子供たちに、利用、参加について考えさせ、そこから出てきたものを、警察、学校、地域団体がサポートする形がいいと思う。アートの場合、最初から担当の先生と話を進めるとうまくいかないケースが多い。先ず校長先生に話しを通した上でやるとうまくいく。順番が大切。
(司会)池田先生から、非常に一杯のお話しを伺った。京山地区の素晴らしい活動状況を聞いたが、私たちも京山で出来たのなら、わが宇部市も、と言う気概を持ってやって行きましょう。池田先生、どうも有難うございました。
以上

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